第98話.新しい付随スキルとレベルアップ
アルベルトとの出会いは、エメリアの学園生活に大きな変化をもたらした。彼が平民学校の図書館に足を運ぶようになったことで、二人は頻繁に会う機会を得たのだ。彼は、貴族であるにもかかわらず、平民であるエメリアに分け隔てなく接し、植物や鉱物、化学に関する深い知識を惜しみなく教えてくれた。
「この植物は、根が酸性の土壌を好むんだ。だから、アルカリ性の土壌に植えると、葉の色が悪くなってしまうんだよ」
「へえ! 授業で習った知識と、実際に植物が育つ環境って、こんな風に繋がってるんですね!」
アルベルトから得た知識は、これまでエメリアが本で学んできた知識と、彼女自身の**『閃き』**を、より深く結びつけていった。二人の交流は、エメリアにとって、知的な探求の旅そのものだった。
そんなある日の夜、エメリアがベッドで眠りにつくと、再びあの声が聞こえてきた。
「エメリア、よく頑張ったね」
声の主は、優しく、しかし確固たる意志を秘めた口調で話しかけてきた。
「私の**『改造』スキル』**……」
エメリアは、思わず自分の心の中でそうつぶやいた。すると、視界の片隅に、ゲームのステータス画面のようなものが現れた。
【改造スキル:Lv. 5】 【付随スキル:分解、再構成、簡易鑑定、成分分析】
エメリアは、驚きに目を見開いた。スキルがレベルアップしているだけでなく、新しいスキルが追加されている。
「『成分分析』……!?」
声の主は、エメリアの驚きを察してか、説明を続けた。
「そのスキルは、君が手にした物質の成分を、詳細に分析するためのスキルだ。君がアルベルトから得た知識、そして図書館で読み漁った書物。それらが、君の**『改造』スキル』**を成長させる糧となったのだよ」
エメリアは、自分の努力が、確実に力になっていることを実感した。アルベルトとの出会いが、単なる友情だけでなく、彼女自身の成長に繋がっていたのだ。
「このスキルがあれば、これからもっと多くのことがわかるようになる。ロッシュ先生の実験も、もっとスムーズに進められるかもしれない!」
エメリアは、新しいスキルに心を躍らせた。しかし、声の主は、厳かに釘を刺した。
「一つだけ、忘れてはいけないことがある。**『改造』スキル』**は、君の『ひらめき』と『知識』を糧に成長する。しかし、それを誰かに見せつけてはいけない。君の力は、あくまで君自身の、秘密の力なのだ」
その言葉を最後に、声は途絶え、エメリアの意識は夢の世界から現実へと引き戻された。
目覚めたエメリアの心は、新しいスキルを手に入れた喜びに満ち溢れていた。彼女は、アルベルトとの友情が、自分の能力を成長させる上で、かけがえのないものになっていることを確信していた。
(これからも、アルベルト君とたくさんお話しよう。そして、もっともっと知識を身につけて、この力を人のために使えるようになろう!)
エメリアは、新たな目標を胸に、今日から始まる学園生活へと希望を膨らませていた。