第139話.魔法のコツと、最強のクラス

エメリアが魔法の授業で見せた圧倒的な力は、生徒たちの間で大きな話題となった。彼女の周りには、授業後になると多くの生徒が集まり、魔法のコツを教えてほしいと頼むようになった。

「エメリアさん、どうすればあんなに強力な魔法が使えるんだ?」 「うんうん、僕が使う**『火球(ファイアボール)』**なんて、ただの小さな火の玉にしかならないんだ……」

生徒たちの真剣な眼差しに、エメリアは困惑しながらも、ひとつずつ丁寧に答えていった。しかし、**『魔法改造』のスキルを秘密にしているため、彼女は直接的な『改造』のヒントを教えることはできなかった。そこで、彼女は、前世の科学知識を応用した、魔法をより効率的に使うための『閃き』**を、生徒たちに伝えていった。

「魔法は、ただ呪文を唱えるだけじゃなくて、魔力の流れを意識することが大切よ。例えば**『火球』**なら、魔力をただ指先に集めるんじゃなくて、空気の流れを意識して、燃焼効率を高めるようにイメージするの」

エメリアは、まるで化学の授業をするかのように、魔法の仕組みを論理的に説明した。彼女の言葉は、生徒たちにとって、目から鱗が落ちるような発見だった。

エメリアからヒントを得た生徒たちは、早速それを試してみた。すると、驚くべきことに、彼らの魔法の威力が、以前よりも格段に向上した。

「すごい……! エメリアさんの言った通りにしたら、本当に威力が上がった!」 「僕の**『火球』**も、的を砕くほどになったぞ!」

生徒たちの魔法は、日を追うごとに強力になっていった。彼らのクラスは、教師たちからも「怪物クラス」と呼ばれるようになり、他のクラスの生徒たちからも一目置かれる存在になっていった。

エメリアは、自分の**『閃き』**が、生徒たちの才能を開花させたことを喜びながらも、彼らの力の制御がまだ不完全であることに気づいていた。

(このままでは、いつか魔法が暴走してしまうかもしれない……。彼らに、もっと安全に魔法を使う方法を教えないと……)

エメリアは、新たな課題に直面していた。彼女の力は、周囲に良い影響を与える一方で、制御を誤れば、大きな危険をもたらす可能性も秘めていたのだ。