第151話.街づくりの始まりと、新たな仲間

子爵として領地に戻ったエメリアは、故郷の村をより豊かな街にするため、さっそく動き出した。彼女はまず、村の発展に不可欠な建築の専門家を集めることにした。その中心となってくれたのは、村の頼れる鍛冶屋ダクレスだった。

「エメリア様!俺が、この村で一番腕のいい大工や石工を全員集めてみせます!」

ダクレスは、力強くそう言って、村中を駆け回った。

エメリアは、ガイウスと共に、新しい街の設計図を広げた。その計画は、ただ家を建てるだけの単純なものではなかった。王都のような給排水システムを整え、衛生的な街をつくることが目的だった。

「この村がある場所から少し離れた土地を開拓して、新しい街をつくります。王都のように、計画的に区画を分けて、道路を整備します」

ガイウスは、エメリアの壮大な計画に驚きながらも、その実現に向けて熱心に耳を傾けた。

しかし、給排水システムの設計は、村の大工や石工だけでは難しい。そんな時、ダクレスが一人の中年の男性を連れてきた。

「エメリア様!この人は、王都で給排水施設の設計に携わっていたゼノスという男です!エメリア様の噂を聞きつけて、ぜひ力になりたいとやってきました!」

ゼノスは、エメリアの前に深々と頭を下げた。彼は、王都の給排水システムの設計に携わっていた優秀な建築家だったが、権力争いに巻き込まれ、職を追われていた。

「給排水システムの設計……。私には、その才能しかありませんが、ぜひ、あなたの街づくりに参加させてください!」

ゼノスの言葉に、エメリアは心から喜んだ。彼女は、ゼノスと共に、給排水施設の設計図を書き始めた。それは、川の水を浄水施設できれいな水に変え、使った水をバクテリウム活性化魔法陣で浄化して川に戻すという、画期的なシステムだった。

「この魔法陣を使えば、水の浄化にかかる時間も、大幅に短縮できます」

エメリアの説明に、ゼノスは目を輝かせた。彼の卓越した建築技術と、エメリアの**『閃き』**が融合し、新しい街づくりの設計図は、着々と完成へと向かっていった。