芹沢鴨の異世界日記 第四十一話


王都を後にした俺たちは、灼熱の砂漠を目指して旅を続けていた。道は次第に乾燥し、周囲の風景は、緑豊かな森から、岩と砂漠へと変わっていく。太陽は容赦なく照りつけ、乾いた風が、俺たちの顔を撫でていった。

「くそっ、暑いな……」

アルベルトが、そう言って、額の汗を拭った。

「ふん。灼熱の砂漠と聞いていた。これくらいは、覚悟の上だろう」

俺は、そう言って、伝説の剣『星辰剣』に触れた。剣は、かすかに冷たい魔力を放ち、俺の身体を、暑さから守ってくれているかのようだ。

俺たちは、灼熱の砂漠へと足を踏み入れた。

砂漠は、どこまでも続く、見渡す限りの砂の世界だ。熱い砂は、俺たちの足の裏から、体温を奪っていく。

「おい、芹沢。本当に、この先に、神々の都があるのか?」

アルベルトが、不安そうな声で俺に尋ねてきた。

「ああ。この道を、まっすぐ進めば、辿り着けるはずだ」

俺は、そう言って、地図を眺めた。

地図には、砂漠の真ん中に、巨大なオアシスが描かれている。そのオアシスが、砂漠の王の棲家だと、依頼書には書かれていた。

「ふん。まずは、そのオアシスを目指すか」

俺たちは、灼熱の砂漠を、ひたすらに歩き続けた。

そして、夜になった。

砂漠の夜は、昼間とは打って変わって、極寒だった。俺たちは、焚き火を囲み、凍える身体を温めた。

「くそっ、昼は暑くて、夜は寒いのか……! こんな場所で、よく魔物が住めるな……!」

アルベルトが、そう言って、震えた。

その時、俺たちの背後から、巨大な砂嵐が、俺たちに向かって、迫ってきた。

「なんだ、あれは……!?」

アルベルトが、叫んだ。

砂嵐の中心には、巨大な魔物の影が見える。その魔物は、まるで、砂でできた獅子のような姿をしている。

「……あれが、**『砂漠の王』**か」

俺は、そう呟くと、伝説の剣を抜いた。

「おい、芹沢! まさか、戦う気か!?」

アルベルトが、焦りの声を上げる。

「ふん。ああ。俺の新しいスキルを試す、最高の相手だ」

俺は、そう言って、砂嵐の中心にいる、砂漠の王に向かって、駆け出した。

「『神速』……!」

俺は、神速スキルを発動させ、砂漠の王との距離を一気に詰めた。

砂漠の王は、俺の接近に気づくと、巨大な砂の爪を、俺に向かって振り下ろしてきた。

「『星辰剣』……『流星斬り』!」

俺は、そう叫ぶと、剣を振り抜いた。

俺の剣から放たれた斬撃は、流星のように、砂の爪を切り裂いていく。

だが、砂の爪は、切り裂かれた端から、すぐに再生していく。

「くそっ、切りがない……!」

俺は、舌打ちをした。

その時、砂漠の王が、巨大な砂の身体を、俺に向かって、押し付けてきた。

「っ……!」

俺は、その一撃を、なんとかかわしたが、その衝撃で、地面に叩きつけられた。

「芹沢!」

アルベルトが、叫んだ。

砂漠の王は、俺が倒れた隙に、アルベルトに向かって、砂の身体を、押し付けてきた。

「くそっ……!」

俺は、悔しさに歯を食いしばった。

このままでは、アルベルトが、砂漠の王に、押しつぶされてしまう。

俺は、自分の心臓に刻まれた『スキル作成』のスキルに、意識を集中させた。

「……俺は、この砂漠の王を、この手で倒してやる……!」

俺は、そう念じた。