芹沢鴨の異世界日記 第四十五話
俺の剣に纏わりついた聖なる光は、アルベルトの光魔法と、リリスの守護者の力が、俺の『スキル作成』によって融合した、新たな力だ。俺は、その剣を携え、岩石のゴーストに向かって、一気に間合いを詰めた。
「『聖岩剣』……一の太刀!」
俺は、剣を振り抜いた。
俺の剣から放たれた斬撃は、聖なる光を放ち、ゴーストの岩石の身体を、まるで豆腐のように、切り裂いていく。そして、その斬撃が、ゴーストの身体を切り裂くだけでなく、その身体に宿る、巨人の怨念をも、同時に浄化していった。
ゴーストは、悲鳴を上げる間もなく、その巨大な身体を、光へと変え、消滅していった。
静寂が、再び、巨人の墓場を支配する。
俺は、荒い息を吐きながら、剣を鞘に納めた。
「……やったのか……?」
アルベルトが、信じられない、といった表情で俺を見た。
「ああ。終わった」
俺は、そう言って、力なく微笑んだ。
その時、俺たちの頭の中に、声が響いた。
《スキル『聖岩剣』のスキルレベルが上昇しました。》 《アルベルトのスキル『ヒーリング』のスキルレベルが上昇しました。》 《リリスのスキル『守護者の加護』のスキルレベルが上昇しました。》
俺とアルベルト、そして、リリス。三人のスキルが、同時にレベルアップした。
「……信じられない。俺のスキルまで、レベルアップしたなんて……!」
リリスが、驚愕の声を上げた。
「ふん。当たり前だろう。俺たちは、共に戦った。お互いのスキルがレベルアップするのは、当然の結果だ」
俺は、そう言って、リリスに笑いかけた。
リリスは、俺の言葉に、照れくさそうに微笑んだ。
「……ありがとう。あなたたちのおかげで、この地の怨念は、完全に浄化されました。これで、巨人たちは、ようやく、安らかに眠ることができるでしょう」
俺は、リリスの言葉に、頷いた。
「さあ、行くぞ、アルベルト。アトランティスへの道が、開かれた」
俺は、そう言って、アルベルトと共に、巨人の墓場の頂上にある、巨大な門へと向かった。
リリスは、俺たちを、見送っていた。
「……リリス。お前も、来ないか?」
俺は、門をくぐろうとした、その時、振り返って、リリスに尋ねた。
リリスは、俺の言葉に、一瞬、戸惑ったような表情を浮かべたが、すぐに、静かに微笑んだ。
「私は、この巨人の墓場を、守らなければなりません。ですが……」
リリスは、そう言って、俺に向かって、一輪の花を差し出した。
「もし、あなたたちが、本当に魔王を倒すことのできる者ならば、この花は、あなたたちを、神々の都へと導くでしょう」
俺は、その花を受け取った。
その花は、まるで、夜空の星を閉じ込めたかのように、美しく輝いている。
俺は、その花を胸に、アルベルトと共に、門をくぐった。
俺たちの新たな旅が、今、始まる。
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