芹沢鴨の異世界日記

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絶壁山脈へと向かう道は、険しい道のりだった。王都の平穏な道とは違い、獣道のような細い道が続き、足元は常に不安定だった。周囲には、見たこともない巨大な木々が生い茂り、不気味な鳴き声が森の奥から聞こえてくる。

「くそっ

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「グリフォンの羽……だと?」

アルベルトが驚愕の声を上げた。その顔には、恐怖の色が浮かんでいる。

「グリフォンとは、鷹の頭と獅子の身体を持つ、空を飛ぶ魔物だ。その強さは、並の冒険者パーティーでは、手も足

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翌朝、俺たちは王都の一角にそびえ立つ『賢者の塔』へと向かった。その塔は、遠くからでも一目でわかるほどに巨大で、まるで天を突くかのような威容を誇っていた。壁面には奇妙な模様が刻まれており、塔全体から、微かに魔力の波動を感じる。

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王都グランベルへの帰り道、俺はアルベルトから聞いた「生命系スキル」という言葉を反芻していた。自分の命を削って力を引き出す……。それは、かつて新撰組局長として、数多の死線を潜り抜けてきた俺の生き様と、どこか似ている気がした。

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王都グランベルへの帰り道、俺はアルベルトの隣を歩きながら、先ほどの戦いを反芻していた。嘆きの騎士を倒した高揚感は既に薄れ、俺の頭の中は、一つの疑問で一杯だった。

「……なぁ、アルベルト」

俺は、意を決し

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アルベルトの口に『薬草の王』を押し込むと、その薬草はたちまち光の粒子となって彼の身体に吸収されていった。全身の傷が、まるで魔法のように癒えていく。血まみれだった鎧の隙間から、みるみるうちに健康な肌が覗いた。

「……

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血の匂いが、俺の鼻腔をくすぐった。地面に倒れ伏したアルベルトの身体から、鮮血が流れ出している。その光景は、俺の頭の中の、ある記憶を呼び起こした。

新撰組の屯所。血まみれの部屋。俺を裏切り、斬りかかってきた土方や沖田

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嘆きの騎士の首筋に深い傷をつけた俺は、荒い息を吐きながらも、不敵な笑みを浮かべていた。

「どうだ、アルベルト。俺の剣は、この程度の化け物には負けぬ」

俺がそう言うと、アルベルトは安堵の表情で頷いた。

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嘆きの騎士の圧倒的な一撃を紙一重でかわした俺は、地面から立ち上がり、剣を構え直した。アルベルトが絶望的な表情で俺を見つめている。

「芹沢、無理だ! 撤退するんだ!」

アルベルトの言葉はもっともだった。力

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『嘆きの洞窟』のさらに奥へと進むにつれ、腐敗した匂いは一層濃くなり、洞窟内を漂う魔力の澱が肌を刺すように感じられた。ゾンビの群れを倒した後も、スケルトンやゴーストといったアンデッド系の魔物が、俺たちの行く手を阻んだ。