第136話.貴族学校での初日と、図書館

貴族学校での新生活が始まった。エメリアは新しい制服に身を包み、アルベルトと共に教室に向かった。教室には、交流会で何度か顔を合わせた生徒たちが、温かく彼女を迎えてくれた。しかし、中には、平民から貴族の養女となったエメリアを好奇の目で見る生徒もいた。

「平民の分際で、アードレ公爵様の養女になったからといって、いきなり貴族学校に通えるなんて……」

そんなひそひそ話が、彼女の耳にも届く。しかし、エメリアは動じなかった。彼女は、ロッシュ先生や友人たち、そして家族との約束を胸に、貴族学校での学業に集中しようと決意していた。

授業が始まり、教師が魔法の歴史や貴族の義務について語る。平民学校では教えられなかった専門的な内容に、エメリアは熱心に耳を傾けた。

(この世界の歴史や、貴族社会の仕組みを理解することが、将来、国をより良くするために必要なんだ……!)

授業が終わると、エメリアはアルベルトと共に、学校の図書館へと向かった。貴族学校の図書館は、平民学校のものとは比べ物にならないほど広大で、何万冊もの本が収蔵されていた。

「すごい……! こんなにたくさんの本があるなんて……!」

エメリアは、その壮大な光景に目を輝かせた。彼女は、まず魔法に関する書物を探すことにした。平民学校では手に入らなかった、高度な魔法の理論や、珍しい魔法陣が記された本が、きっとここにはあるはずだ。

「エメリアさん。ここに座って、一緒に勉強しよう」

アルベルトが、窓際の席に案内してくれた。窓から差し込む光が、埃の舞う図書館を幻想的に照らしていた。

エメリアは、早速魔法の書物を手に取った。そこには、彼女の**『魔法改造』**のヒントとなるような、興味深い理論が記されていた。

(この図書館で、たくさんのことを学んで、私の力を、もっと多くの人のために使えるようにするんだ……!)

エメリアの知の探求は、貴族学校という新たな舞台で、さらなる深みへと進んでいく。