第147話.卒業、交流会、そして叙爵の準備

エメリアは11歳で貴族学校に入学し、そこから4年間、多くのことを学んだ。彼女の**『制御魔法陣』は全クラスに広まり、生徒たちの魔法は飛躍的に向上した。エメリアは、その功績によって、貴族学校の教師たちからも一目置かれる存在となっていた。彼女は、アルベルトやエラ**といった友人たちと共に、領地経営や貴族の義務に関する勉強にも熱心に取り組み、15歳になった今、内面的にも大きく成長していた。

そして、卒業の季節が訪れる前に、最後の貴族・平民学校交流会が開催された。

交流会の会場で、エメリアは平民学校の友人であるアルフレッドセシルと再会した。彼らは、立派な貴族学校の生徒になったエメリアの姿に驚きながらも、以前と変わらぬ笑顔で彼女を迎えた。

「エメリア! すごいよ! 君が教えてくれた**『閃き』**のおかげで、僕たちの研究もすごく進んだんだ!」

セシルは、興奮した様子で、これまでの研究の成果を熱心に語った。彼らの言葉に、エメリアは胸が熱くなった。

「私も、貴族学校でたくさんのことを学んだわ。いつか、みんなと一緒に、この国を良くするために、私の力を使うから」

交流会で、エメリアは旧友たちと再会し、互いの成長を喜び合った。それは、彼女がどれほど遠いところへ来ても、故郷の友人たちとの繋がりを大切にしていることを証明する、温かい時間だった。


卒業式の日、エメリアは、アードレ公爵と共に王都の王宮へと向かっていた。馬車の中で、アードレ公爵が静かにエメリアに話しかけた。

「エメリア。君が貴族学校を卒業したことを受け、国王アルフレッド陛下に叙爵の準備を進めるよう進言した」

エメリアは、驚きのあまり、言葉を失った。

「君の功績は、叙爵に値するものだ。アルカディアス公爵の不正を暴き、国を魔力災害から守る技術の基礎を築いた。そして、**『制御魔法陣』**によって、若い世代に希望を与えてくれた。君は、すでに立派な貴族だ」

アードレ公爵の言葉に、エメリアは胸が熱くなった。

「しかし、私のような平民の出が、本当に……」

「君の出自は、もはや問題ではない。君の功績と才能が、貴族としての資質を証明している」

アードレ公爵は、そう言って優しく微笑んだ。

王宮に到着すると、国王アルフレッドと、レナード伯爵が、エメリアを待っていた。

「エメリア嬢。君の卒業を、心から祝福する」

国王アルフレッドは、温かい眼差しでエメリアを迎えた。

「そして、アードレ公爵から、君の叙爵について聞いた。君の功績は、我々が知る以上に、この国を救ってくれた。叙爵は、君への正当な評価だ」

レナード伯爵も、そう言って頷いた。

エメリアは、国王と公爵、伯爵の言葉に、これまでの努力が報われたことを実感した。そして、彼女は、自分が一人ではないこと、多くの人々に支えられていることを、改めて感じた。

「ありがとうございます、陛下。そして、アードレ公爵様、レナード伯爵様……。皆さまのご期待に沿えるよう、これからも、この国の未来のために、全力を尽くします」

エメリアは、胸に秘めた決意を、力強く語った。彼女の叙爵は、王都中で大きな話題となり、その日は、新たな時代の始まりを告げる日となった。