第152話:新しい街の設計と、ガイウスの驚き

エメリアは、ゼノスと共に、新しい街づくりのための設計図を完成させた。その設計図は、王都の給排水システムを参考にしつつ、エメリアの**『閃き』ゼノス**の建築技術が融合した、画期的なものだった。

「この給水施設で、川の水を浄化して、各家庭に清潔な水を供給します」

エメリアは、設計図を指差しながら、ガイウスに説明した。

「そして、この下水道で、使った水をすべて集めます。集めた水は、ここに設置する**『バクテリウム』**活性化魔法陣で浄化し、きれいな水に変えてから川に戻すんです」

ガイウスは、その壮大な計画に驚きを隠せないでいた。彼は、これまでの人生で、このような計画的な街づくりを見たことがなかったからだ。

「この給排水施設を建設するには、莫大な費用と、多くの人手が必要となるでしょう。資金は、公爵様から聞いてはおりますが……」

ガイウスが、確認するように言った。彼は、エメリアが国から受けた報奨金が莫大な額であることは知っていたが、その全てを街づくりに投じるつもりなのかを確かめたかったのだ。

「ご心配には及びません、ガイウスさん。私が国への貢献に対して子爵に任命されたときに、まとめていただいたものです。この街を新たに作っても、お釣りが来るほどです」

エメリアは、自信に満ちた表情で言った。彼女の言葉に、ガイウスは改めてその潤沢な資金力に驚愕した。

エメリアは、ガイウスゼノスを紹介した。

「私が設計した王都の給排水システムは、貴族の権威を示すために、無駄な装飾や複雑な構造が多すぎました。しかし、エメリア子爵様が考えたこの設計図は、無駄を徹底的に省き、機能性を追求した、まさに**『最高の給排水システム』**です!」

ゼノスは、熱心にガイウスに説明した。彼の言葉と、設計図の緻密さに、ガイウスは感銘を受けた。

「すごい……! エメリア子爵様は、これほどのことを、わずか数日で……」

ガイウスは、エメリアの才能に改めて驚愕した。彼は、この若い領主が、故郷の村を、この国のどこよりも住みやすい場所に変えてくれることを確信した。

「わかりました。エメリア子爵様。街の防衛を担う人材の募集、新たな税制の整備、そしてこの計画に必要な資材の調達など、内政面は全てこのガイウスにお任せください。この計画の実現に向けて、全力を尽くします!」

ガイウスは、そう言って力強く頭を下げた。こうして、エメリアの故郷の村は、新たな街へと生まれ変わるための、第一歩を踏み出したのだった。