第166話.安堵の日々と、深まる謎
王都での激闘を終えたエメリアは、**『青の騎士団』**と共に故郷の街へと凱旋した。街の人々は、英雄として彼女を迎え、盛大な祝賀会を開いた。エメリアは、心からの感謝を込めて人々に挨拶を返した。
「みんな、ただいま。そして、ありがとう」
彼女の言葉に、街は温かい拍手と歓声に包まれた。
子爵邸に戻ると、ガイウスが憔悴した表情で彼女を出迎えた。王都の魔力災害の報を聞き、彼はこの街の安全を一人で守らなければならないという重圧に耐えていたのだ。
「エメリア子爵様!ご無事でお戻りになり、心から安堵いたしました。王都の魔力災害……書状で知ってはおりましたが、まさかこれほどまでに深刻な事態だったとは……」
ガイウスは、エメリアの無事を喜びながらも、王都の惨状を想像し、顔を曇らせた。
「ええ、とても大変だったわ。でも、ディランさんや騎士団の皆さんの活躍もあって、無事に解決できたわ」
エメリアは、安堵させるように微笑んだ。
その夜、エメリアは自室に戻り、一人静かに王都での出来事を振り返っていた。彼女の心には、バルドとの遭遇と、自身の内に秘められた能力への戸惑いが残っていた。
(私の**『究極改造(アルティメット)』や『生命創成(ライフクリエイト)』**の力は、もはや制御しきれないほどに強大だわ。もし、また同じようなことが起きたら……)
エメリアは、自分の力が、善にも悪にもなりうる、両刃の剣であることを悟っていた。特に、バルドの記憶を改ざんした行為は、彼女の心に重くのしかかっていた。
(王都の危機は去ったけれど、貴族派の脅威はまだ終わっていない。彼らは、私の能力を危険視している。このままでは、街も、そして大切な人たちも、危険に晒されてしまうかもしれない……)
エメリアは、窓から見える、灯りのともった街の景色を眺めた。人々は、彼女が作り上げた街で、穏やかに暮らしている。その光景が、彼女に更なる決意を促した。
彼女は、自身の力を完全に制御し、そして、貴族派の脅威から、この街を、そしてこの国を完全に守るため、新たな研究を始めることを決意した。エメリアの戦いは、まだ終わってはいなかった。