旧 芹沢鴨の異世界日記 第4話
「俺と、一緒に、行ってくれねぇか?」
俺の言葉に、リリアは驚いた表情を浮かべた。
「あの…どういうことでしょうか?」
俺は、リリアの問いに、正直に答えた。
「俺は、この世界のことを、何も知らねぇ。お前は、この世界のことを知っている。だから、お前の力を借りたい」
俺の言葉に、リリアは、困ったように眉をひそめた。
「ですが…あなた、冒険者ではないのでしょう?それに、剣も持っていないようですし…」
俺は、リリアの言葉に、苦笑した。
「ああ、俺は、冒険者じゃねぇ。だが、剣術の腕なら、誰にも負けねぇ。それに、この力がある」
俺は、掌に、光の玉を作り出した。
「なっ…その光は…」
リリアは、俺の掌の光を見て、驚愕した。
「これは、『スキル』だ。お前が言っていた、スキルってやつだろ?」
リリアは、俺の言葉に、頷いた。
「はい…でも、一体、どうやって…?」
俺は、リリアの問いに、首を傾げた。
「どうやって、って言われてもな…俺にも、よくわからねぇ。ただ、頭の中で、この言葉が響くだけだ」
俺は、頭の中で響く言葉を、リリアに伝えた。
「スキル…作成…」
リリアは、俺の言葉に、目を丸くした。
「スキル…作成…!?そんなスキル、聞いたことがありません!」
リリアは、興奮したように、俺に詰め寄った。
「あなた、一体、何者なんですか?」
俺は、リリアの言葉に、フッと笑った。
「俺は、芹沢鴨。ただの、流れ者だ」
俺の言葉に、リリアは、信じられない、といった表情を浮かべた。
「…わかりました。ですが、あなたを、簡単に信用することはできません」
リリアは、俺から、少し距離を取った。
「俺は、お前を騙すつもりはねぇ。だが、信用しろ、とは言わねぇ」
俺は、リリアの言葉に、頷いた。
「俺は、ただ、この世界で、生きていきたいだけだ。そのためには、お前の力が必要だ」
リリアは、俺の言葉を、じっと見つめていた。
「…では、一つ、試させてください」
リリアは、そう言うと、俺の目の前に、小さな石を置いた。
「この石を、壊してみてください」
俺は、リリアの言葉に、頷いた。
俺は、掌に、光の玉を作り出し、その石に向かって、投げつけた。
「グォォォォ!」
光の玉は、石にぶつかり、石は、粉々に砕け散った。
「すごい…」
リリアは、俺の力を見て、驚愕した。
「これなら…」
リリアは、俺に、笑顔を向けた。
「わかりました。私と一緒に、来てくれますか?私が、この世界のことを、教えてあげます」
俺は、リリアの言葉に、頷いた。
「ああ。よろしく頼む」
俺は、リリアと、握手をした。
その時、俺の頭の中に、再び、あの声が響いた。
《スキル作成》…レベル2…
「レベル…上がったのか?」
俺は、驚きと喜びを、心の中で感じた。
俺は、この異世界で、生きていける。
そう確信した、瞬間だった。
「さあ、行きましょう。私の仲間として、街へ」
リリアは、俺を、先導するように、歩き始めた。
「仲間…か」
俺は、リリアの言葉を、心の中で、反芻した。
俺には、新撰組という、仲間がいた。だが、俺は、その仲間によって、殺された。
「仲間…か…」
俺は、もう一度、リリアの言葉を、心の中で、呟いた。
この異世界で、俺は、再び、仲間を得ることができた。
だが、この仲間は、俺を、裏切ったりしないだろうか。
俺は、不安と期待を胸に、リリアの後を、ついていった。
俺の、異世界での冒険は、まだ、始まったばかりだ。