芹沢鴨の異世界日記 第二十三話


鷲の魔物たちの群れに囲まれ、俺は絶体絶命の窮地に陥っていた。肩から流れる血が、俺の身体から力を奪っていく。

「くそっ、キリがない……!」

俺は、そう言って、舌打ちをした。

その時、俺の背後から、アルベルトの声が聞こえてきた。

「芹沢! これを使え!」

アルベルトが、俺に向かって、何かを投げつけた。

それは、俺がグリフォンの死体から手に入れた、『グリフォンの羽』だった。

「……何をする気だ、アルベルト!」

俺は、アルベルトの意図がわからず、叫んだ。

「いいから、それを持って、山頂の崖から飛び降りろ!」

「馬鹿を言うな! 死ぬ気か!」

俺は、そう言って、アルベルトを睨みつけた。

だが、アルベルトの目は、真剣そのものだった。

「信じろ、芹沢! 俺は、お前を信じている!」

アルベルトの言葉に、俺は一瞬、迷った。

だが、俺は、アルベルトの言葉を信じることにした。

俺は、鷲の魔物たちを剣で払いながら、山頂の崖へと向かった。

そして、俺は、鷲の魔物たちから逃げるように、崖から飛び降りた。

「芹沢ああああああああ!」

アルベルトの悲鳴のような声が、背後から聞こえてくる。

俺は、空中に放り出され、絶壁の下へと落ちていく。

その時、俺は、再び、頭の中で『スキル作成』の力を念じた。

《スキル作成……『飛翔』を作成しますか?》

「……作成しろ!」

《警告。MPが不足しています。》

やはり、ダメか……!

絶望的な気持ちになった、その時。

俺の心臓に刻まれた、『グリフォンの羽』が、光を放ち始めた。

「な……なんだ、これは……」

俺は、驚きを隠せない。

『グリフォンの羽』は、まるで、俺の身体の一部になったかのように、俺の背中に吸い込まれていく。

そして、俺の背中から、巨大な鷲の翼が生え始めた。

俺の身体は、翼によって、落下速度を緩め、まるで、空を飛ぶかのように、宙に浮いた。

「……飛翔……?」

俺は、自分の身体に、何が起こっているのか、理解できなかった。

その時、俺の頭の中に、声が響いた。

《スキル『スキル作成』が、進化しました。》 《スキル作成(レベル2)に上昇。》 《スキル『飛翔』を作成しました。》


スキル: 飛翔(レベル1) 効果: 翼を生み出し、空を飛ぶことができる。

俺は、自分の背中から生えた翼を見て、呆然とした。

そして、俺は、再び、頭の中に声が響いた。

《スキル『剣術融合』が、進化しました。》 《スキル『剣術融合』とスキル『飛翔』を融合させ、新たなスキルを作成しますか?》

「……作成しろ!」

《スキル作成:『空翔剣』、完了。》


スキル: 空翔剣(レベル1) 効果: 飛翔しながら、剣術を駆使することができる。

俺は、新たなスキルを、心臓に刻み込んだ。

そして、俺は、上空を見上げた。

鷲の魔物たちが、俺に向かって、急降下してくる。

俺は、不敵な笑みを浮かべた。

「ふん。来い、化け物ども」

俺は、そう言って、空に舞い上がった。

俺の剣は、もはや、地上でしか振るえないものではなかった。

それは、空を舞い、空を斬る、新たな剣だった。