芹沢鴨の異世界日記 第二十七話


『神速』のスキルを試した後、俺たちは王都へと戻った。俺の身体にはまだ疲労感が残っているが、新たな力を手に入れた高揚感が、それを上回っていた。

「どうだ、芹沢。お前の新しいスキルは」

アルベルトが、興奮した声で俺に尋ねてきた。

「……悪くない。だが、まだまだだ」

俺は、そう言って、再び腰の剣を握りしめた。

「お前は、俺の速度についてこれないだろう。次の依頼は、一人で行く」

俺の言葉に、アルベルトは、一瞬、悲しそうな顔をしたが、すぐに、真剣な表情になった。

「いや。俺も行く」

「馬鹿を言うな。俺の速度についてこれなければ、お前は、俺の足手まといになる」

俺は、そう言って、アルベルトを睨みつけた。

「俺は、お前の足手まといにはならない」

アルベルトは、そう言って、自分の胸を叩いた。

「俺には、お前を助けることができる」

「……どういうことだ?」

アルベルトは、俺の問いに、ゆっくりと話し始めた。

「俺の『ヒーリング』スキルは、お前を癒すことができる。そして、俺の『フレイムボルト』は、お前の攻撃を、さらに強力なものにすることができる」

「ふん。だが、それだけでは、俺の速度についてこれない」

「だから、俺は、お前を追いかけるのではない。俺は、お前を、**『援護する』**んだ」

アルベルトは、そう言って、俺をまっすぐに見つめた。

「お前が戦っている間、俺は、お前の背後を守る。お前が傷つけば、俺が癒す。そして、お前が疲労困憊になれば、俺が、お前を支える」

その言葉に、俺は、一瞬、言葉を失った。

新撰組局長だった頃、俺は、常に孤独だった。誰にも頼らず、一人で戦い、一人で苦しんでいた。

だが、この男は、俺を、仲間として、俺の弱さまで、受け入れようとしてくれている。

「……ふん。馬鹿な奴だ」

俺は、そう言って、アルベルトに笑いかけた。

「俺の足手まといになるなよ」

「おう! 任せとけ!」

アルベルトは、満面の笑みでそう答えた。

俺たちは、冒険者ギルドへと向かった。

そして、俺たちは、次の依頼を、二人で受けることにした。

俺の剣は、孤独な剣ではない。

それは、俺と、そして、俺の仲間を守るための剣だ。

俺は、この剣を、この仲間と共に、どこまで高められるのか。

その答えを、俺は、これから見つけ出してやる。