芹沢鴨の異世界日記 第二十九話
スケルトンたちの連携攻撃に動きを封じられた俺は、舌打ちをした。一体一体は弱い。だが、数が多く、そして何より、知能が高い。まるで、俺の動きを予測しているかのように、完璧なタイミングで攻撃を仕掛けてくる。
「くそっ……!」
俺は、迫りくるスケルトンの一撃を、剣で受け止める。だが、その隙に、別のスケルトンが、俺の背後から襲いかかってきた。
「芹沢! 背後だ!」
アルベルトが、叫んだ。
俺は、アルベルトの声に、身体を捻って、その攻撃をかわした。
だが、その時、アルベルトが動いた。
「『フレイムボルト』!」
アルベルトが、スケルトンたちに向かって、火の玉を放った。火の玉は、スケルトンの一匹に直撃し、その身体を燃え上がらせた。
「……ふん。悪くない」
俺は、そう呟くと、再び、剣を構えた。
だが、スケルトンたちは、アルベルトの攻撃に、動揺する様子を見せない。それどころか、まるで、俺たちの連携を読んでいたかのように、アルベルトに向かって、攻撃を仕掛け始めた。
「くそっ、俺が足手まといになっている……!」
アルベルトが、焦りの声を上げる。
「馬鹿を言うな!」
俺は、そう叫んだ。
「お前は、俺の足手まといにはならない。俺が、お前を守る」
俺は、そう言って、アルベルトに迫りくるスケルトンたちを、一気に斬り伏せた。
だが、その間にも、スケルトンたちの群れは、俺に向かって、再び連携攻撃を仕掛けてくる。
「……なるほどな」
俺は、この戦いの本質を、この一瞬で理解した。
このスケルトンたちは、単なる群れではない。それは、まるで、一つの意思を持った、巨大な魔物だ。
ならば、その意思を持つ、核を、破壊しなければならない。
「アルベルト! 奴らを、一か所に集めろ!」
俺は、そう叫んだ。
アルベルトは、俺の言葉に、一瞬、戸惑ったが、すぐに、俺の意図を理解したようだった。
「わかったぜ、芹沢! 『フレイムボルト』!」
アルベルトは、スケルトンたちに向かって、次々と火の玉を放った。スケルトンたちは、その火の玉を避けようと、一か所に集まり始めた。
「よし……! 今だ……!」
俺は、そう叫ぶと、自分の心臓に刻まれた『怒り』のスキルに、意識を集中させた。
《スキル作成:『怒り』を発動しますか?》
「……発動しろ」
俺の身体から、再び、黒いオーラが噴き出した。
「くそっ……! 身体が持たねえ……!」
『怒り』のスキルは、俺の命を削って、力を引き出すものだ。だが、今は、この力を使わなければ、俺たちは、この古城から、生きて帰ることはできない。
俺は、痛みに耐えながら、一か所に集まったスケルトンたちに向かって、駆け出した。
そして、俺は、剣を構え、俺の全身全霊を込めて、一撃を放った。
「『怒り』……居合……抜刀斬り!」
俺の剣は、光を放ち、一か所に集まったスケルトンたちを、同時に切り裂いた。
だが、スケルトンたちは、それで終わらなかった。
スケルトンたちの身体は、バラバラになったが、その中心から、禍々しい紫色の光が放たれた。
「……何だ、あれは……?」
アルベルトが、驚愕の声を上げる。
紫色の光は、まるで、生きているかのように、俺たちに向かって、飛びかかってきた。
俺は、その光の正体が、このスケルトンたちの、核であることを、直感的に理解した。
「……くそっ! やはり、一筋縄ではいかないな……!」
俺は、そう言って、再び、剣を構え直した。
この戦いは、まだ、終わっていない。
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