芹沢鴨の異世界日記 第三十一話


俺の剣に纏わりついた光は、アルベルトの魔力、そして、俺の剣術が融合した、新たな力だ。俺は、その剣を携え、紫色の光の塊に向かって、一気に間合いを詰めた。

「『光剣』……一の太刀!」

俺の剣は、光を放ち、光の塊を正確に捉えた。

パリン!

ガラスが割れるような、甲高い音が響き渡る。

紫色の光の塊は、俺の一撃によって、一瞬で、消滅していった。

静寂が、再び、古城の広間を支配する。

俺は、荒い息を吐きながら、剣を鞘に納めた。

「……やったのか……?」

アルベルトが、信じられない、といった表情で俺を見た。

「ああ。終わった」

俺は、そう言って、力なく微笑んだ。

その時、俺の頭の中に、声が響いた。

《スキル『光剣』のスキルレベルが上昇しました。》

そして、同時に、アルベルトの頭の中にも、声が響いた。

《スキル『ヒーリング』のスキルレベルが上昇しました。》

「……俺のスキルも、レベルアップしたぞ!」

アルベルトが、嬉しそうな声で叫んだ。

俺は、その言葉に、納得した。

俺が、アルベルトの魔力を借りてスキルを作成したことで、俺のスキルがレベルアップしただけでなく、アルベルトのスキルも、レベルアップしたのだ。

それは、まるで、俺たちの絆が、スキルとなって、強くなったかのようだった。

俺は、アルベルトの元に駆け寄った。

「感謝する、アルベルト。お前のおかげで、勝てた」

俺は、そう言って、アルベルトの肩を叩いた。

アルベルトは、俺の言葉に、照れくさそうに笑った。

「はは! 俺は、ただ、お前の剣の、ほんの少しの助けになっただけさ!」

「馬鹿を言うな。お前がいなければ、俺は、あの光の塊を、斬ることはできなかった」

俺は、そう言って、アルベルトをまっすぐに見つめた。

アルベルトは、俺の言葉に、嬉しそうな笑顔を見せた。

俺たちは、古城を後にした。

古城の外に出ると、空は既に夕焼けに染まっていた。

「さあ、帰るぞ、アルベルト。王都に帰ったら、美味い酒でも飲もう」

俺は、そう言って、アルベルトと共に、王都グランベルへと向かった。

俺の剣は、もはや、孤独な剣ではない。

それは、俺と、そして、俺の仲間を守るための剣だ。

そして、その剣は、仲間と共に、さらなる高みへと、進化していく。

俺は、この世界で、再び、剣の道を歩み始めた。