芹沢鴨の異世界日記 第三十七話


石像の腕に握られた剣は、まるで夜空の星を閉じ込めたかのように、青い光を放っていた。その剣から放たれる魔力は、俺がこれまでに感じたどんな魔力よりも、純粋で、そして、圧倒的だった。

「……伝説の剣……」

俺は、そう呟くと、その剣に向かって、ゆっくりと歩み寄った。

アルベルトも、俺の隣で、息をのんでいる。

「すげえ……。本当に、伝説の剣が、ここにあったなんて……!」

俺は、石像の前に立つと、手を伸ばし、その剣を掴んだ。

剣は、まるで、俺の身体の一部であるかのように、すんなりと、俺の手に収まった。

その瞬間、剣から放たれる青い光が、俺の身体を包み込んだ。

「うおおおおおおおお!」

俺は、叫んだ。

俺の身体の中を、これまで感じたことのない、巨大な魔力が駆け巡る。そして、俺の心臓に刻まれた『スキル作成』のスキルが、まるで、新しい命を吹き込まれたかのように、光を放ち始めた。

《スキル『スキル作成』が、伝説の剣の魔力に触れたことで、新たなスキルを創造します。》 《スキル作成:『星辰剣』、完了。》


スキル: 星辰剣(レベル1) 効果: 剣に星の魔力を纏わせ、魔王に有効な攻撃を可能にする。

俺は、新たなスキルを、心臓に刻み込んだ。

そして、俺は、伝説の剣を、高々と掲げた。

「これが、伝説の剣……。俺の剣だ……!」

俺は、そう言って、不敵な笑みを浮かべた。

その時、俺たちの頭の中に、声が響いた。

《ようこそ、伝説の剣の継承者よ。》

「……誰だ?」

俺は、警戒しながら、周囲を見渡した。

《私は、この古の森の迷宮の守護者。そして、伝説の剣の創造者だ。》

声は、どこからともなく、俺たちの頭の中に響いてくる。

《お前は、伝説の剣に選ばれた。そして、お前は、新たなスキルを創造した。それこそが、お前が、魔王を倒すことのできる、唯一の力だ。》

「俺の力……?」

《そうだ。伝説の剣は、魔王に有効な攻撃を可能にするが、それだけでは、魔王を倒すことはできない。お前が創造した『星辰剣』のスキルと、お前の剣術が、融合した時、真の力が解放されるだろう。》

俺は、その言葉に、胸が高鳴るのを感じた。

「俺の剣術と、伝説の剣の力が、融合する……」

《そうだ。そして、その力を、真に解放するためには、お前は、伝説の剣を、使いこなせるほどの剣士にならなければならない。》

「ふん。当たり前だろうが」

俺は、そう言って、伝説の剣を、力強く握りしめた。

「おい、芹沢! この声は、一体……?」

アルベルトが、困惑した顔で俺を見た。

「この迷宮の守護者だ。伝説の剣の創造者でもあるらしい」

俺は、そう言って、アルベルトに笑いかけた。

「さあ、行くぞ、アルベルト。魔王を倒すための、旅が、いよいよ始まる」

俺たちは、伝説の剣を手に、古の森の迷宮を後にした。

俺の剣は、もはや、俺自身の探求のためだけではない。

それは、俺の仲間、アルベルトの願いを叶えるため。

そして、この世界の、平和を取り戻すための剣だ。

俺は、この剣を、この仲間と共に、魔王を倒せるほどの力へと、進化させてやる。