芹沢鴨の異世界日記 第四十三話


砂漠の王を倒した俺たちは、灼熱の砂漠をさらに奥へと進んだ。砂漠の王が支配していた領域を越えると、熱気は少しずつ和らぎ、俺たちの目に、巨大な岩山が見えてきた。

「おい、芹沢。あれが、神々の都か?」

アルベルトが、疲労の色を浮かべながら、岩山を指差した。

「いや。あれは、**『巨人の墓場』**だ。神々の都アトランティスへ向かうための、最後の関門らしい」

俺は、そう言って、地図を眺めた。

地図には、巨人の墓場の頂上に、アトランティスへ続く、巨大な門が描かれている。

「くそっ、巨人の墓場、か……。なんか、嫌な予感がするな……」

アルベルトが、そう言って、腰の杖を握りしめた。

俺たちは、巨人の墓場へと足を踏み入れた。

周囲には、巨大な岩が、まるで墓標のように立ち並んでいる。その岩には、巨大な爪痕や、剣の傷跡が刻まれており、かつてここで、巨大な戦いがあったことを物語っていた。

「……巨人の墓場。その名の通り、巨人たちが、眠っている場所か……?」

俺は、警戒しながら、剣を抜いた。

その時、俺たちの背後から、巨大な影が、俺たちに向かって、迫ってきた。

「なっ……!?」

俺は、驚愕の声を上げた。

振り返ると、そこには、巨大な岩石でできた、ゴーストのような魔物が、俺たちを見下ろしていた。その魔物は、まるで、巨人の怨念が、岩石に憑依したかのような、禍々しい気配を放っている。

「ゴーストか……! だが、こんなに大きいゴーストは、見たことがない!」

アルベルトが、叫んだ。

俺は、剣を構え、ゴーストに向かって、駆け出した。

「『神速』……!」

俺は、神速スキルを発動させ、ゴーストとの距離を一気に詰めた。

ゴーストは、俺の接近に気づくと、巨大な岩石の腕を、俺に向かって振り下ろしてきた。

「『流星斬り』!」

俺は、そう叫ぶと、剣を振り抜いた。

俺の剣から放たれた斬撃は、流星のように、ゴーストの腕を切り裂いていく。

だが、ゴーストの腕は、切り裂かれた端から、すぐに再生していく。

「くそっ、こいつも再生能力を持つのか……!」

俺は、舌打ちをした。

その時、ゴーストが、巨大な岩石の身体を、俺に向かって、押し付けてきた。

「っ……!」

俺は、その一撃を、なんとかかわしたが、その衝撃で、地面に叩きつけられた。

「芹沢!」

アルベルトが、叫んだ。

ゴーストは、俺が倒れた隙に、アルベルトに向かって、岩石の身体を、押し付けてきた。

「くそっ……!」

俺は、悔しさに歯を食いしばった。

このままでは、アルベルトが、ゴーストに、押しつぶされてしまう。

俺は、自分の心臓に刻まれた『スキル作成』のスキルに、意識を集中させた。

「……俺は、このゴーストを、この手で倒してやる……!」

俺は、そう念じた。

その時、俺たちの背後から、一つの声が聞こえてきた。

「お前たち、その魔物を、倒すことはできない」

俺は、その声に、驚愕の声を上げた。

振り返ると、そこには、一人の女性が、立っていた。

彼女は、銀色の髪を持ち、その瞳は、まるで夜空の星を閉じ込めたかのように、美しく輝いている。

彼女は、俺たちを、見つめていた。

「このゴーストは、岩石と、そして、巨人の怨念が融合した、特殊な魔物だ。お前たちの物理的な攻撃は、再生能力を持つゴーストには、無効化されてしまうだろう」

「……お前は、一体、誰だ?」

俺は、警戒しながら、彼女に尋ねた。

彼女は、俺の問いに、静かに微笑んだ。

「私は、この巨人の墓場の守護者。そして、お前たちを、導く者だ」

彼女は、そう言って、俺に向かって、手を差し出した。