芹沢鴨の異世界日記 第四十六話
巨人の墓場を後にした俺たちは、アトランティスへと続く、巨大な門をくぐった。門の向こう側は、これまで俺たちが旅してきた世界とは、全く違う景色が広がっていた。
空は、深い藍色に染まり、星々が、まるで地上に降り注いでいるかのように、美しく輝いている。そして、足元には、まるで銀河を閉じ込めたかのような、透き通った水が流れていた。
「……すげえ……。本当に、神々の都なのか……?」
アルベルトが、息をのんだ。
「ああ。神々の都アトランティスへ向かう、**『星の道』**だ」
俺は、リリスから渡された『星の花』を眺めた。その花は、俺たちが進むべき道を、まるで光の道標のように、照らしてくれている。
俺たちは、その星の道を、ひたすらに歩き続けた。
道中、いくつかの魔物と遭遇したが、それは、これまでの魔物とは、全く違う、不思議な魔物たちだった。
「なんだ、あれは……?」
アルベルトが、巨大なウサギのような魔物を指差した。そのウサギは、耳から、まるで雷のような光を放っている。
「ふん。あれは、**『雷兎』**だ。星の道を、守る魔物だろう」
俺は、そう言って、伝説の剣を抜いた。
「おい、芹沢! まさか、戦う気か!?」
アルベルトが、焦りの声を上げる。
「ふん。ああ。俺の剣は、雷の魔物にも、通用するのか、試してみたい」
俺は、そう言って、雷兎に向かって、駆け出した。
雷兎は、俺の接近に気づくと、耳から、巨大な雷を放ってきた。
「『神速』……!」
俺は、神速スキルを発動させ、雷をかわした。
だが、雷兎は、俺の動きを読んでいたかのように、再び、雷を放ってきた。
「くそっ、速い……!」
俺は、舌打ちをした。
雷は、俺の身体を、かすり傷一つ付けずに、通り過ぎていく。だが、その度に、俺の身体には、痺れが走る。
「くそっ……! このままでは、ジリ貧だ……!」
俺は、そう確信した。
その時、俺は、自分の心臓に刻まれた『スキル作成』のスキルに、意識を集中させた。
「……俺は、この雷兎を、この手で倒してやる……!」
俺は、そう念じた。
《スキル作成:『雷剣』を作成しますか?》
「……作成しろ!」
《警告。新たなスキルの作成には、材料が必要です。》
「……材料……?」
俺は、舌打ちをした。
その時、俺は、雷兎が放った雷に、俺の剣が、まるで磁石のように、引き寄せられていることに気づいた。
「……これか」
俺は、そう呟くと、雷兎が放った雷を、そのまま、伝説の剣に、吸い込ませた。
《スキル作成:『雷剣』、完了。》
スキル: 雷剣(レベル1) 効果: 剣に雷の魔力を纏わせ、雷の魔物にも有効な攻撃を可能にする。
俺の剣に、雷兎の雷の魔力が、まるで吸い込まれるかのように、纏わりついた。
俺の剣は、光を放ち、その刃は、これまでとは全く違う、電光のような輝きを放っている。
「……これが、俺たちの力だ」
俺は、そう呟くと、雷兎に向かって、駆け出した。
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