芹沢鴨の異世界日記 第四十八話
雷兎を倒した俺たちは、『星の道』をさらに奥へと進んでいった。道は、これまで以上に美しく、幻想的な光景が広がっている。空には、無数の星々が瞬き、足元の水面には、その星々が映し出されている。まるで、宇宙を歩いているかのような、不思議な感覚だった。
「なあ、芹沢。本当に、この道を進めば、神々の都に辿り着けるのか?」
アルベルトが、そう言って、周囲を見渡した。彼の顔には、希望と、少しの不安が入り混じっている。
「ふん。ああ。リリスがくれたこの花が、俺たちを導いてくれる」
俺は、胸ポケットにしまった『星の花』に触れた。花は、かすかに光を放ち、俺たちを、まるで、母親が子を守るかのように、優しく包み込んでいる。
俺たちは、その星の道を、ひたすらに歩き続けた。
そして、俺たちの目の前に、巨大な滝が現れた。
「……滝か。だが、どこから水が流れてくるんだ?」
アルベルトが、不思議そうな顔で、滝を眺めた。
滝の水は、空から流れ落ちている。だが、空には、雲一つない。
「ふん。ここは、常識が通用しない場所だ。神々の都アトランティスへ向かう、**『水の試練』**だろう」
俺は、そう言って、滝へと向かって、歩き出した。
だが、その時。
滝の水が、まるで、意思を持ったかのように、俺たちに向かって、襲いかかってきた。
「なっ……!?」
俺は、驚愕の声を上げた。
滝の水は、まるで、巨大な蛇のように、俺たちの身体に、絡みついてくる。
「くそっ、動きが取れない……!」
俺は、舌打ちをした。
その時、アルベルトが、叫んだ。
「芹沢! 落ち着け! 俺の魔法で、どうにかする!」
アルベルトは、そう叫ぶと、滝の水に向かって、火の玉を放った。
「『フレイムボルト』!」
火の玉は、滝の水に直撃するが、滝の水は、火の玉を、まるで、最初からなかったかのように、飲み込んでいく。
「くそっ、効かないのか……!」
アルベルトが、焦りの声を上げる。
滝の水は、俺たちを、さらに強く、締め付けてくる。このままでは、俺たちは、滝の水に、飲み込まれてしまうだろう。
「くそっ……! こんなところで、終わりか……!」
俺は、悔しさに歯を食いしばった。
その時、俺は、自分の心臓に刻まれた『スキル作成』のスキルに、意識を集中させた。
「……俺は、この滝を、この手で、斬ってやる……!」
俺は、そう念じた。
《スキル作成:『水剣』を作成しますか?》
「……作成しろ!」
《警告。新たなスキルの作成には、材料が必要です。》
「……材料……?」
俺は、舌打ちをした。
その時、俺の身体に絡みついた滝の水が、俺の伝説の剣に、まるで、吸い込まれるかのように、纏わりついていることに気づいた。
「……これか」
俺は、そう呟くと、滝の水を、そのまま、伝説の剣に、吸い込ませた。
《スキル作成:『水剣』、完了。》
スキル: 水剣(レベル1) 効果: 剣に水の魔力を纏わせ、水の魔物にも有効な攻撃を可能にする。
俺の剣に、滝の水の魔力が、まるで吸い込まれるかのように、纏わりついた。
俺の剣は、光を放ち、その刃は、これまでとは全く違う、水の雫のような輝きを放っている。
「……これが、俺たちの力だ」
俺は、そう呟くと、俺の身体に絡みついた滝の水に向かって、剣を構えた。
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません