芹沢鴨の異世界日記 第五十話


アトランティスへ続く最後の試練、『霧の壁』は、俺の『スキル作成』でもどうにもならない、この世界の理そのものだった。霧の壁からは、途方もない魔力の波動が放たれており、それは、俺たちの行く手を阻むだけでなく、俺たちの精神をも蝕もうとしているかのようだ。

「くそっ、どうすればいい……」

俺は、そう言って、伝説の剣を力強く握りしめた。

その時、アルベルトが、俺の隣で、静かに言った。

「芹沢。俺に任せてくれ」

「馬鹿を言うな! お前一人で、この霧の壁をどうにかできる相手ではない!」

俺は、アルベルトを睨みつけた。

だが、アルベルトの顔には、迷いはなかった。

「俺は、お前を、神々の都へと、連れていく」

アルベルトは、そう叫ぶと、自分の杖を、霧の壁に向かって、高々と掲げた。

「『ヒーリング』……!」

アルベルトが、そう念じると、杖から、淡い光が放たれた。その光は、霧の壁に、まるで、温かい太陽の光が、雪を溶かすかのように、少しずつ、変化を与えていく。

「……なるほど。光と霧……か」

俺は、この戦いの本質を、この一瞬で理解した。

この霧は、この世界の全ての魔力が、凝縮されたもの。それは、闇の魔力だ。そして、アルベルトの『ヒーリング』は、光の魔力。それは、闇を打ち払う、唯一の力だ。

だが、アルベルトの『ヒーリング』だけでは、霧の壁を、完全に打ち払うことはできない。

俺は、自分の心臓に刻まれた『スキル作成』のスキルに、意識を集中させた。

「アルベルト! 俺の魔力も使え!」

「え? 芹沢……!」

「いいから、使え! 俺の身体を、お前の魔法で、包み込め!」

俺は、そう叫ぶと、アルベルトに向かって、自分の魔力を放った。

アルベルトは、俺の言葉を信じて、俺の魔力と、自分の魔力を、融合させた。

その瞬間、俺とアルベルトの身体から、強烈な光が放たれた。その光は、霧の壁に向かって、一気に突き進んでいく。

霧の壁は、その光に触れると、まるで、溶けていくかのように、消滅していった。

そして、霧の壁が消えたその奥には、俺たちの目の前に、巨大な都市が現れた。

「……あれが、神々の都アトランティス……!」

アルベルトが、息をのんだ。

巨大な都市は、まるで、空に浮かんでいるかのように、美しく輝いている。

俺は、荒い息を吐きながら、アルベルトの肩を叩いた。

「やったな、アルベルト」

俺の言葉に、アルベルトは、満面の笑みを見せた。

「おう!」

俺たちは、神々の都アトランティスへ向かって、歩き出した。

この世界の中心。

そこに、魔王を倒すための、全ての情報が、眠っている。

俺は、この剣と、この仲間と共に、魔王を倒す。

そして、この世界の、歴史を変えてやる。



登場人物:

  • 芹沢鴨:主人公。新撰組局長。アルベルトの『ヒーリング』と自身の魔力を融合させ、『霧の壁』を突破する。
  • アルベルト:冒険者。芹沢鴨の相棒。自身の魔法と芹沢の魔力を融合させ、新たな力を発揮する。 スキル:
  • 芹沢鴨:スキル作成(レベル3)、居合(レベル1)、剣気(レベル1)、剣術融合(レベル2)、怒り(レベル1)、飛翔(レベル1)、空翔剣(レベル1)、神速(レベル1)、光剣(レベル2)、森羅万象(レベル1)、星辰剣(レベル1)、流星斬り(レベル1)、砂剣(レベル2)、聖岩剣(レベル2)、雷剣(レベル2)、水剣(レベル2)
  • アルベルト:ヒーリング(レベル7)、フレイムボルト(レベル2) 行動履歴:
  • 芹沢鴨は、霧の壁という新たな試練に直面し、自身の『スキル作成』が通用しないことに苦悩する。
  • アルベルトが、自身の『ヒーリング』スキルと、芹沢の魔力を融合させるという、新たな戦術を提案する。
  • 二人の魔力が融合したことで、霧の壁を突破し、神々の都アトランティスに到達する。 ストーリー:
  • これまでの芹沢鴨が主体となる戦いから、アルベルトとの協力が不可欠な戦いへと物語が変化する。
  • 芹沢鴨の成長が、単独の戦闘能力だけでなく、仲間との絆を活かした戦術へと進化していることが描かれる。
  • 神々の都アトランティスという新たな舞台が登場し、物語がさらに大きく動き出す。